利用者:青子守歌/ABEMA Prime出演報告 (20200918)

2020年9月18日(金曜日)22:00-23:00(JST)にAbemaTVで放送された、ABEMA Prime『ウィキペディアって信頼できる?ひろゆき&日本語版管理者と考える』に出演してきました。

本文書では、その出演に関してご報告するものです。 今後、どなたか他の方々が同じような出演打診などを受けた時の参考になれば幸いです。

本報告書を書き上げるまでの時間がなかなか取れず、かなり遅れての報告になってしまいました。すみません・・・

時系列の流れ[編集]

擬似的に追体験してもらえるように、ここでは日記調で記します。

本質的な話(?)を見たい方は、後半の#内容に関する補足まで飛ばしてください。

打診までの話[編集]

最初にお声がけいただいたのは、Twitterのダイレクトメッセージで[1]、AbemaNewsの公式アカウントからでした。 趣旨としては「管理者らを始めとするウィキペディアンの実態を伝える番組を企画したい」という感じでした。 読み返してみると、打診をされたのは9/9(火)の15時です。出演日まで(この時は知りませんでしたが)10日もなかったので、結構ギリギリだったんですね。

正直言えば、私に声がかかるとは思ってもみませんでした。 まず、私の投稿記録を見てもらうと分かると思うのですが、特に最も活発だった頃は少し昔で、ここ数年は「時間があれば」という感じで、散発的で、薄く長くという活動でした。 もちろん、以前から、何人かの方々がテレビ番組でウィキペディアへ出演されていたことを知っていましたが、私には遠い話だなーと思って聞いていました。 特に、私の生態を話しておくと、家にテレビがなく、普段テレビをまず視聴しません(アニメ等を見ることはありますがオンライン配信ばかり)。

なので最初にDMをもらった時には「知らないテレビ局だな…?」という感想を持ちました。 あと、普段テレビを見ない&テレビ業界の方と交流がないので、なおさら「何が目的だろう?」とちょっと懐疑的でした。

特に、テレビ等の取材の話は、周囲の同僚や先生に聞く限りではあまり良い印象を持っておらず「企画者の筋に合うような編集や演出がされて、自分の主張を捻じ曲げられる」ということもあると思っていました。 そういう意味でもやはり懐疑的で、今読み返してみるとややぶっきらぼうに「とりあえず企画書見てみないと分からんよ」という感じでお返事しました。

連絡先としてメールアドレスをとのことだったので、それ以降はメールでやりとりしました。

企画打ち合わせから、出演直前までの話[編集]

その後、9/10の12時前に、担当のディレクターの方から(仮にDさんとします)メールに最初のメールが届きました。

企画内容として、改めて

  • ウィキペディア自体の解説
  • 管理者についての説明や普段の活動
  • 信頼性はどうか

という点を重点に置くことと、出演予定日とメインの方々の名前、あと「スタジオもしくはリモート出演のどちらかをお願いします」という内容でした。 企画書の内容や「どんなことをしてほしいのか」が明確に率直に書かれており、大変わかりやすいなという第一印象でした(この時点で、先に書いた「なんだか懐疑的」という印象がだいぶ薄れたと思います)。

それで、早速次の日(つまり11日)の夕方に、初めてのオンライン打ち合わせをやりました。 ここでは、まず前半で、改めて企画の内容の説明と確認をしました。 「テレビ番組なので何かしら台本とか筋とか方向性とかあるんじゃないですか?それを先に教えてもらえないと回答もしにくいんですが?」という(今にして思うと失礼な)問に対して、Dさんから「一応、報道番組かつ生放送なので、思っていることそのまま事実を話していただいて良い」とお答えいただいたところをよく覚えています。 先のような先入観があったので、なおさらびっくりしたと言うか、拍子抜けしたと言うか…。少しゲスな言い方をすれば「アタリだな」と思った感じです。

後半には、ウィキペディアに関しての質疑をしました。 ウィキペディアの制度の話から、青子守歌のアカウントがどんな活動をしているのか、あるいは(参考情報として)普段の私生活どんな感じですか?とか多種多様な話を、広く説明した感じです。 Dさんは事前にウィキペディアについて少し調べてきてくれたらしく、理解が難しかったところを中心に質問をお受けしました。 とても熱心な質問をされたので、こちらも結構お答えするのに必死でした。 特にちょうど寄付金バナーの時期だったので「寄付金って何に使われるんですかね?」とか聞かれた時には、ウィキメディア財団の使命(いわゆる"Imagine a world"句)の説明をしつつ、裏でコモンズで財団の財務報告書を探してきてその場で読解しながら…みたいなことをしてました。

初回打ち合わせの時間は、予定を結構超過して、2-3時間やってたと思います。 打ち合わせ終わった時には「やっぱり見込んだ通り、ウィキペディアのことって全然知らなかったことが多いので、良い番組になりそうです」ともおっしゃってました。 私も、話を聞いている限り内容としては興味深かったし、Dさんを通して「一般(≒非ウィキペディアン)の方にウィキペディアについて説明する重要性」を感じたのもあって、最後に出演する方向で承諾しました。 出演をスタジオかリモートにするかという話もこの時にしましたが、アベプラの雰囲気(事前にちょっと予習で見た)や「管理者に聞く」という内容であることを踏まえると、直接対面できるところにいたほうが良いなと思って、私からスタジオ(赤坂スタジオ)へ赴きたいと要望しました。

この内容を元に、改めてスタジオ台本みたいなものを書く&番組のスタッフと打ち合わせて承認などをもらうとのことで、一旦持ち帰られました。

私の方も検討課題として出演方法どうするかを考える宿題がありました。それは簡単に言えばどこまで顔出しするのか問題です。 この点は後ほど詳述しますが、こちらの事情も理解してくださって色々Dさんの方でも用意できる選択肢を教えてもらえました。 最終的には、動画をご覧の通りフクロウの被り物を自分の方で調達しましたが、手元に届いたのは9/15(火)ごろだったと思います。

で、諸々決まったということで、2回目の打ち合わせは9/16(水)18時からになりました。 よく考えたらもう「明後日が本番」で2回目だったんですね…・・・。 この時は、事前に送っていただいたスタジオ台本案などを元に「これはこういうことを話すんですよね」とか「この流れだと先にこっちの説明がないと分かりづらいかも」とか割と細かく私から詰めてお話したと思います。 あまり私がよく考えずに「あれもこれも」と言ってたので、打ち合わせ終わる頃には(今にして思えば)かなり詰め気味の中身になってしまっていました(この辺りのことも後述します)。 入館証のために本名を初めて教えたのも、実はこの辺りでした。

その内容を元に、更に修正とスタッフの方と調整をしますとのことで、また次の日(つまり本番前日!)に、改稿版を送っていただきました。 「割と内容が詰まりすぎてて、中身が難しくなりすぎてる」という指摘を他のスタッフからもらったらしいです。 具体的には、AbemaTVの想定視聴者の方は、スマートフォンの大きさの画面でながら観をするような感じが想定されているとのことで、それに合わせた簡略化が必要だとのことでした。

確かに一理あるなというわけで、中身を大きく変えてどの内容をどうやってどこを削ればいいかという話を、前日のこの段階でさらにすることになりました。 結局、17日の夜遅くに、私から割と長めの案(説明文)をお送りして、当日の朝11時に、電話打ち合わせをして色々詰めました。

こんなギリギリまで真摯に対応していただけたのは、今にして思うとすごいことだったんだなぁと改めて感じています。

出演当日、直前までの話[編集]

というわけで、朝のDさんとの電話を終えた私は、自分の本業の方が朝から忙しく予定がギッチリだったのをなんとか消化して日中を過ごしました。 そんな忙しさもあって、日中はほとんど出演の話は考えている余裕がなかったです(これはこれで幸いだったかもしれません)。

それでなんとか本業を終わらせて、20時半ごろに赤坂のスタジオに到着しました(普通に地下鉄で行きました)。

待合室(楽屋?)は、普通の会議室みたいなところで、大きめの部屋でした。 最初、その部屋にテレビがあったので、直前の企画である平井デジタル改革担当大臣の企画を参考に見てようかと思ったのですが、残念ながらテレビ線がつながってなかったです…。 なので、普通に持ち込んだパソコンで視聴していました。

荷物をおいた後、とりあえず最初にスタジオの様子を見に行きました。 他の出演者の方にご挨拶したり、座席について位置の調整などをしたときもこの時でした。 事前に「ノートパソコン持ち込んでも良いです」と言われていたのですが、余り目立たないようにどうしたらいいかなぁとかもこのタイミングでやりました。

そしてその後直前に対面で本当に最後の打ち合わせをDさんとしました。 ここでは本当に最終確認(決定事項の理解)という感じでした。

ここまでで終わったのが21時ごろだったと思います。

2回目の打ち合わせでスケジュールを教えてもらった時に、これぐらいの時間から出演まで、1時間ぐらい時間があることは事前に聞かされていました。 なので、その1時間を使って、最後の打ち合わせまでに出た諸々を解決しようと思いまして、誰かオンライン通話で話し相手になってくれる人を事前に探してました。 何人かにお声がけして、前日にようやく1人つかまったのが別のイベントでSlackが通じていた利用者:Araisyoheiでした。 急なお願いだったんですが引き受けてもらえて、その直前の1時間(つまり21時から22時前)にSlack通話をしてました。

その通話では、いくつか説明の流れとかをはっきりさせるために予め私が手元で用意していたメモ(後述)の確認をするのが主な話題でした。 あと、その中で出た具体的な話題として「ウィキって(おそらく出演者の人が呼ぶだろうから)その時にどうやって伝えるといいか」という問題で、Dさんには「せっかくなのでその場で訂正してあげてください」と言われていたんですが、どうやって伝えるのがいいのかなぁ、というのも2人して考えてました。 で、なんかいい例があった気がするんだけど…と思い出せそうで思い出せない2人だったので、その場で彼が「利尻昆布のことを利尻って略すな」の例えを思いついてくれて、本番ではそれを使ったというわけでした。

それで時間になったのでスタジオに入ったのは5分前ぐらいだったと思います。

出演中の話[編集]

CM中に入れ替わるということで、平井大臣とスタジオ入口ですれ違いながら(秘書らしき方が2-3名同伴されていました)、急いで座席につきました。

それで、改めて出演者の方に「よろしくお願いします」とご挨拶して、被り物をかぶってPCを用意して・・・という準備をしました。 数分ぐらい時間があったので、みなさんとなにか雑談をしたと思います。 その雑談中に、急に私が被り物をつけたので、確か向井さんだったかに「あ、それかぶるんですね」って聞かれたので「はい、詳しくは本番で聞いてください」って返したところだけ覚えています。

その後の実際の本番中の話は、アーカイブ動画を見てもらうほうが良いと思います。 心理描写を一応しておくと、スタジオ台本的なのは事前にもらっていたのですが、実際には「本番の流れは、その場で他の出演者の方が何を気になって聞かれるか次第ですね」と言われていたので割と不安でした(実を言うと、ひろゆきさんに厳しいツッコミされないかが一番怖かったw)。 ただ、動画の通り、みなさんやはりプロなのでそうそう外れた方向にはいかず、あと、進行の平石アナがうまく誘導してくれたりしたおかげで、概ね、予定していた(説明しようと思っていた)ことはお話できたと思います。

あと、途中にCMを挟んだのですが、その時も、本番中とあまり雰囲気変わらず、1-2個、質問をされたり雑談したりしてました。

本番中にちょっと困ったこととしては、唯一リモートで参加されたひろゆきに返す時の目線の位置ですね…。 アーカイブ動画の一番最後に全体像が写っているのですが、その場面に写っている真ん中の場所以外に、正面(つまりその場面で言うとカメラの真下ぐらい)に放映場面が映る画面があり、その横にもひろゆきさんの画面がありました。 なので、ひろゆきさんが2箇所にいて、なんか視線が安定しないなぁと思いながら本番中しゃべってました(動画で見る限りあまり気にならなかったので心配しすぎなだけだったかもしれません)。

出演後の話[編集]

出演後は、すぐに楽屋を撤収して、そのまま帰りました。

帰りはタクシーを用意していただいたので、車内で番組への反響を読んだりしていました。 月並みな感想ですが、Twitter等で多くの方から「おつかれさま!よかったよ!」と言ってもらえたのが嬉しかったです。 あと、平石アナからは個別にreplyいただいて、番組後のフォローも逃さない丁寧でさすがプロだなって思いました(小並感)。

なお、番組自体へのコメント・反響などについては

あたりが今でも確認しやすいと思います。 私がここでまとめても偏りそうなので、どんなコメントがあったかは、ぜひみなさんご一読ください。

個人的には「声や言動が宇佐美さんに似てる!」とコメントがあったところが興味深かったです。 今まで誰かに似てるとか言われたことがない人生でしたので…。 ただ申し訳ないんですが、実はその「宇佐美さん」が誰かを知りませんでした。後日、別の人から聞いたところ、おそらく同じくアベプラに出ている宇佐美典也さんのことだろうとのことでした。 確かにメガネの形は似ている…?かもです。

あと、翌週ぐらいに、冒頭に書いた「番組を元にした記事」というのが作られて配信されまして、そこでもまた反響がありました。 そこへのコメントは例えばTwitter検索でhttps://times.abema.tv/news-article/8625210"を見たりすると、読めると思います。 最初に配信された時には内容にいくつか不備があったのですが(例えば「ウィキペディア財団」になってたりとか)、Dさんを通してお願いしたらすぐに修正していただけました。

それと、これの後しばらくしてからなのですが、11月中に2件と12月に1件、まったく別のところから、他の企画の相談もありました。 詳細は伏せますが、そのうち1つが、先日公開したプロジェクト:アウトリーチ/テレビ企画 202101です。

内容に関する補足[編集]

番組の時間とか進行の都合があり、一部説明を端折ったり、あえてわかりやすさをとった説明などもありました。 いくつか指摘をもらったので、自分の覚えている端折った話+指摘に出来る限りお答えしたいと思います。

もしこれ以外に「これってどうだったの?」とか追加質問などあれば、会話ページでもTwitterでもご遠慮無くお聞きください。ここへの補足に追加させていただきます。

どこまでやらせだった?[編集]

先にも書いた通り、基本的には「スタジオ台本」と呼ばれる、ある程度の進行表が事前に用意されており、概ねその流れで話が進んでいきました。 テレビ業界では一般的なものらしいです。まぁ生放送が全部が全部その場の思いつきでやってたらグッチャグチャになりますよねそりゃ。。

ということで、ある程度はどのような質問がされるか分かっており、それにこちらがどう答えるのかも先にお伝えした状態で番組の収録にのぞみました。 台本は公開できないので全部は言えませんが、例えば「ウィキペディアって信用できるんですか?」とかの質問・回答が台本にあったものに該当します。 そういう意味では、「ほとんどがやらせ」と言っても間違いではないと思います。

とは言え、台本にないことでゲストの方からその場で思いついた質問などが飛んでくることもたくさんありました。 こちらも1つだけ例を上げると「ビル・ゲイツは寄付したの?」というのは、その場での質問でした。

加えて、台本だと後の話なんだけどなーという質問が来たりとかはしていたので、台本と違う流れだったという意味では、割とその場で臨機応変に対応してた感じはあります。

「信頼できるのか?」に対する答え[編集]

「全く信用できません」と答えたことに色々とご意見もらいました。 真意としてはウィキペディアはまだまだ未熟であるので現時点では信用してはいけないということが言いたかったことでした(一応そんな答え方をしているはず)。

日々、ウィキペディアン(もちろん私を含む)は「信頼される記事にしていこう」と活動されていることは言うまでもないことです。 しかし「ウィキペディアだというだけで信用していいほど、記事の中身はどれも信頼できるか?」というと、残念ながらほとんどの記事がその領域に達していないのが現状です。 それは、例えば秀逸/良質な記事の数と割合にも現れていると思いますし、ランダム記事を開いた時に出てくる記事の出典の少なさ&観点の偏りのきつさというのを見ていただければ感じてもらえると思います。

なので、やはり回答としては「信頼できません」というのが、現状のウィキペディア日本語版の実情を知っている人からすると正確かつ誠実な答えになると思います。 とは言え、後半の方でも出てきましたが、まったく使い物にならないわけではなくて、ウィキペディアだからと信用するのではなくて、ウィキペディアをあくまで入口にして物事を調べるとっかかりにするという使い方はできると思います。

なので「信頼できない」とは言いますが「役に立たない」とは言っていません。 ウィキペディアという「知識が同じところに同じ形式でまとまっている」ということだけでも十分にすごいことなのです。 今後は、単に「知識がまとまっている」だけではなくて「まとまっている知識が正確であり網羅性が高く観点も中立である」とより良い記事に改善していけるよう、引き続き他のウィキペディアンの方々と協力しながら活動していきたいです。

「ウィキって略すな」は本気で言ってる?[編集]

もちろん半分ネタではあります。 テレビ番組という(言い方悪いかもしれませんが)一般大衆向けの媒体において、多少の面白いことで興味を惹くというのは重要なことだと思います。 その1つとして、「みんな言ってるけどダメなんだよー」という話としてWP:(ryを使いました。 「ウィキペ」という略称も、まぁ使ってる人あんまりいないのは承知の上で「ペ」で終わると音的に面白いよねという意図が込められています。

ということで実際には、例えば友人や家族が「ウィキってさー」って言ったとしても、普段は私はニコニコしながら聞いてます。 もちろん、正確な表現が必要で後々残っていくような箇所(例えば論文や文字媒体)では、「ウィキ」と呼ばないようにするほうが良いとは思いますし、その場合は訂正します。 ただ、日常生活の会話において、そこまで神経質になって「ウィキって呼ぶやつは滅ぶべし」みたいなとこまでやらなくていいんじゃないかなぁという気持ちです。

あと、番組では時間の都合で入れなかったすごい細かいけど関連する話としては

  • 英語だとthe Wikiと"the"をつけることで「(たくさんあるウィキの中で)特定のウィキのこと=文脈上はウィキペディアのこと」という使い方もあります。インターネットのことをthe netというのと同じですね。
  • 熟練ウィキペディアン、特にシステム周りに詳しい人は、ウィキペディア日本語版のことを"jawiki"(ジャウィキ)と呼ぶことがあります。そういう意味では、私を含めた一部の人も、確かにウィキペディアのことを「ウィキ」と言っているのですが、これは、データベース名から来ている内部表現というか組織内方言であって、またちょっと意味が違うんですよね…。

みたいな小ネタもあります。どこかで披露できる機会があればネタとして入れてみたいところです。 あと、利尻昆布のネタじゃなくて、ちゃんと「いい例」として挙がってたのを思い出しておきたい…。

顔出しの問題と管理者出演の難しさ[編集]

番組の中でも触れたんですが、ウィキペディアの管理者というものをやっている以上、(こちらからすれば)言いがかりに近い恨みを買うことはよくあることです。 それは分かってて活動しているので別に良いのですが、オンウィキ・オンラインだけでやっている時はともかく、オフラインで不特定多数の人が見えているところだと、いわゆる「身バレ」する可能性があります。 そうすると、そういった理不尽な攻撃によって、実生活(家族や所属機関)に迷惑や悪影響を被る可能性があるわけです。

そもそも、ご承知の通り、ウィキペディアで活動していてもそれで生きていくことはほぼ不可能です。 私を含めて全員が、無償ボランティアの有志であって、趣味や暇つぶしの1つとしてウィキペディアンとして活動しているはずです。

それは管理者でも同じことが言えます。 なぜ管理者をやっているのかという動機は人それぞれでしょうが、動機がなんであれ、管理者も、自分が現代社会で生きていくための別の仕事なり生活の隙間に、無償ボランティアで管理者業務をこなしています。 そんな状態でありつつ、そこになお面倒・危険なことを持ち込みたくない&極力避けたいという気持ちは、分かってもらえるでしょうか。

そんなわけで、私は以前から不特定多数の方の前にウィキペディアン/青子守歌として出る場合には、目から上を隠すようにしてました。 マスクという選択肢もあったのですが、「目元が分かると判別しやすくなるよ」という助言に従って、口元ではなく目にしています。 特に、今回のように誰かと会話するという場合には、口の動きが見えると相手が話を聞きやすい(理解しやすい)という効果もあるらしいです[要出典]。

顔隠しといえば、もっと極端によくある曇りガラス&声色変換みたいなのをすれば完璧に隠せはします。 しかし、それだと視聴者やゲストの方に伝えたいことがうまく伝わらないでしょう。 テレビ番組という機会で多くの人にうまく伝える・興味を持ってもらうという使命と、自分の安全性を考えて、自分がギリギリ納得できる線というのが「目より上を隠す」という状態だったということです。 「ちょこちょこ目も見えてるからバレるんじゃない?」という心配の声もいただきましたが、まぁそこは仕方ないと考えています。 最も避けたいのは、不特定多数からの攻撃であって、青子守歌の中の人を知ってる人に通じてしまうところぐらいは多少はどうしようもないかなぁという感覚です(ありがたいことにワザワザ「これお前やろw」と直接言ってくるような無粋な人は周囲にいませんですし)。 これは人それぞれの事情によっても違うと思いますので、もしこれを読んでいる方で、何かの時にテレビ出演などする機会がある場合は、ご自身の私生活のこともよく考えた上で、うまくテレビ映えとの折り合いをつけられると良いと思います。

なお、なんでフクロウの被り物なのか?という話をすると、ご存じの方もいるかもしれませんが、ウィキペディアン以前から「青子守歌」のアイコンとしてフクロウを使ってきていることに由来します(例:Twitter)。 大昔には帽子を深くかぶったこともありましたが、まぁそれだとただの怪しい人でテレビ映りが良くないなということで、ちょっと明るさを出すために今回、フクロウの被り物をしたというわけです。 向井さんあたりがこの被り物すごく気にしてて聞きたそうにされてましたが、残念ながらそれに触れる時間は番組中ではありませんでした…。

というように、管理者である以上避けられない「荒らしを含めた悪意ある相手と対峙したり、全然話の通じない人との対話」によって生じる「恨みを買う」ということと、一方でウィキペディアに関するアウトリーチ活動を両立するためには、このあたりへの配慮が必要です。 テレビ局の方も、そういう事情を理解してくれて「それは必要ですね」と言ってくれたりするので、変に遠慮せずにはっきり要望すれば、ちゃんと許可してくれると思います。

出演料はどうしたの?[編集]

番組中で私がボケた出演料の話ですが、実は当日まで私は本当に話を聞いてませんでした。 まぁこの辺りボランティア精神が染み付いているというか、ウィキペディア関連(に限りませんが)イベントとかでも講演料とかもらったことはもちろんないので、ウィキペディアンあるあるなのかもしれません。

で、後日実際に出演料いただいたのですが、これは全部、そっくりそのままウィキメディア財団に寄付しました。 ウィキペディアでお金を稼ぐってのもなんか個人的に違和感があるし、出演できるだけの話のネタを得たのはすべてウィキペディア日本語版コミュニティーおよびウィキメディア財団のおかげであって、私自身の能力とか労力の報酬ではありませんし。 実費も、スタジオまでの交通費ぐらいで誤差の範囲内ぐらいだったので、まぁいいかなと。

具体的な金額は非公開情報なので言えず、なので寄付画面のスクショとかも証拠として載せられないのが残念なところですが。。

最後にまとめを兼ねた感想[編集]

ということで、テレビ番組に出演して、ウィキペディアの内情とかを話してきました。

とても貴重な体験でしたし、普段どうしてもウィキペディアコミュニティーの中での立ち回りばかりを気にして、実際の読者目線での話や疑問点を聞く機会なんてほぼないので、そういう方とやりとりをして、それが多くの方に伝えられたというのは有意義だったと思います。 あとなにより、楽しかったです。これは元来イベントや勉強会で発表するのが好きという私の性分とも合ってたのかもしれません。

最後に、あらためて、貴重な機会を与えてくださったABEMAのスタッフの皆様、特に細かい修正や指摘に最後までお付き合いいただいた担当のDさん、そして本番中に拙い私の喋りをうまく誘導してくださった平石さんと、たくさんのコメントや質問をしてくださった出演者のみなさまに、厚く御礼申し上げます。 またどこか別の機会があればぜひ遠慮なくお声がけいただければと思います。

あと、先にもちらっと書きましたが、また別の企画があったりしています。 反響があったことは良いことだと思いますし、私も私生活とオンウィキ活動に支障がない範囲で、テレビ番組等への出演依頼があれば引き続き応えていきたいと思います。 他にももしなにかありましたら、Twitter@aokomoriutaやその他の手段でご相談ください。アイディア段階でも応じられると思います。

これを読まれているウィキペディアンのみなさまも、あまり恐れず外部での話にどんどん応じてもらって、ウィキペディアをより広く多くの方に知ってもらってよく使ってもらう活動にご協力いただければ幸いです。

脚注[編集]

  1. ^ 私は自分のアカウント@aokomoriutaのDMをフォロー外の人からも常時開放しています