TP-LINK Technologies

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普聯技術有限公司
TP-LINK Technologies Co., Ltd.
現地語社名
普聯技術有限公司
種類
民営企業
有限責任公司
業種 電気機器
設立 1996年 (28年前) (1996)
創業者 趙 建軍
趙 佳興
本社 中華人民共和国の旗 中国 広東省深圳市南山区科技園科苑路5号南楼
事業地域
グローバル
製品 ネットワーク機器
従業員数
21,849名(2013年12月時点)
ウェブサイト TP-LINK
ティーピーリンクジャパン株式会社
TP-LINK JAPAN INC.
種類 株式会社
略称 TP-LINK
本社所在地 日本の旗 日本
101-0021
東京都港区西新橋2丁目9番1号PMO西新橋8F
設立 2015年10月
業種 電気機器
法人番号 3010001171514
事業内容 デジタル家電及びコンピュータ関連設備の開発、製造、販売並びに関連サービス提供業務、および前号に附帯関連する一切の業務
代表者 李 超毅
資本金 2億0900万円(2020年7月時点)
従業員数 18名(2017年時点)
主要株主 TP-LINK Technologies
外部リンク TP-LINK 日本
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TP-LINK Technologies Co., Ltd.(ティーピーリンク テクノロジーズ、中国語: 普聯技術TP-LINK)は、中華人民共和国深圳に拠点をおく、SOHOおよびSMB向けのネットワーク機器の製造・販売企業。

無線LANおよびブロードバンドCPEデバイスを製造しており、公式サイトではユーザー数が数十億人に上るとしている[1][2][3]。製品は主に無線LAN、ルーターネットワークスイッチネットワークカメラPLCアダプタプリンターサーバーメディアコンバーターネットワークアダプターなどである。

概要[編集]

カナダにあるTP-LINKの社屋、2013年撮影。

TP-LINKは、趙建軍(ジェフリー・チャオ)と趙佳興(クリフ・チャオ)兄弟が開発したネットワークカードを販売するために1996年に設立された。会社名は、通信用ケーブルの配線であるツイストペアリンクに由来している[4]

主な競合企業は、BuffaloNETGEAR、Belkin、LinksysD-Link、および Asus などである。

2005年には国際展開を始めた。2007年に、深圳のHi-Tech Industry Parkに拠点を移し、グローバル本社として新たに面積10万平方メートルを有する本社施設を構えた。2008年には米国法人TP-LINK USAを設立した[5][6]

2005年に国際進出した以降成長を続け、2013年の第一四半期には無線LAN機器においてシェア42.2%を達成して世界市場1位となった[1]

日本法人は2015年10月に東京都千代田区外神田に設立され、2017年11月に現所在地に移転している。

製品[編集]

ギャラリー[編集]

製造[編集]

競合他社との差別化のため、ODM(相手先ブランド設計製造業者)に委託せず、製品を自社製造している[7]

問題[編集]

福岡大学NTPサーバーへの過剰アクセス問題[編集]

2017年11月、TP-Linkの無線LAN中継器が公開されているNTPサーバーに過剰な負荷をかけている事が問題視された[8]。当該の製品は5秒に1回という非常に高い頻度でNTPサーバーにリクエストを送信しており、月間では715MBものトラフィックを発生させていた。これは、Windowsが電源を入れる度に1度か、起動し続けている場合は週に1度しかNTPリクエストを送信しない事とくらべると明らかに過剰であった[8]。このNTPサーバーのリストはファームウェアハードコードされており、その中には日本の福岡大学も含まれていたため日本でも問題となった。

2017年12月、TP-Linkは前述のNTP問題について釈明を発表した[9]。その中では本来ネットワークの時刻合わせに利用するプロトコルであるはずのNTPをインターネット接続の有無を確認するために利用している事や、それがネットワーク機器において一般的な挙動であると主張し、その頻度が問題であったためファームウェアのアップグレードで修正するとしていた[9]。なお、通常はインターネット接続の有無の確認はHTTPで行うとされる[8]

Aviraへのトラフィック無断送信問題[編集]

2022年03月、「TP-Link製ルーターは関連サービスをオフにしても第三者のサーバーに大量のトラフィックを送信している」という報告が海外掲示板のRedditに投稿された[10][11]。当該の無線LANルーターはドイツに本社を置くAviraの技術を利用したHomeShieldと呼ばれるネットワークセキュリティ機能を搭載しているが、投稿したユーザーはこの機能を無効化しているにもかかわらず、*.safethings.avira.comなどのドメインに24時間で8万回以上の大量のDNSクエリ (リクエスト)が送信されており、ユーザーに無断でデータが送信されていた。このユーザーからの問い合わせに対し、TP-Link側は有料サービスが存在するHomeShieldのアクティベーションの確認のためであるとし、Avira側は無料ユーザーの問い合わせにはサポートしないと返信していた[12]

この1年前の2021年5月、テック系レビューサイトで同社の別のルーターのレビューが掲載された際にも同様の短時間に大量のDNSクエリが確認されていた[13]。この時のTP-Linkはレビュー掲載前のサイト側からの質問には回答せず、掲載した後になってから

  • ユーザーからのリクエストがマルウェアか否かを確認するためにAviraのデータベースにアクセスしているものである
  • HomeShieldが無効になっている時はこの機能も無効化するファームウェアアップデートを提供予定だが、時期は未定である

と回答を行っていたが、1年近く放置していた事になる。

2022年3月23日までにTP-Linkは公式サイトに声明を発表し、当該のDNSクエリには個人情報が含まれておらず、リクエストはAviraのサーバーIPアドレスを確認するためであると前述の2件とは異なる主張した[14]。異なる3件の主張のどれが正しいのか、なぜHomeShield無効化していてもクエリを送信するのか、なぜ24時間に8万回という異常なクエリを送信したのか、DNSでの名前解決後の実際の通信に具体的にどういったデータが含まれていたかは説明されていない。また、データを受け取った側であるAviraからも声明は出されていない。

BluetoothアダプターのMACアドレス重複問題[編集]

2022年4月13日、同社が販売するUSB接続のBluetoothアダプターが、一意であるはずのMACアドレスが重複した状態で販売されている事が報道された[15]。MACアドレスが重複する事で複数のアダプタが存在する環境では正常に動作しなくなるなどの不具合が発生するが、TP-Linkは「ほとんどの環境で1台のアダプターを使用する事を想定してる」「ほとんどのブランドが同じMACアドレスを使用している事を確認している」などと主張し、あくまで仕様であるとした[15]

4月19日、TP-Linkは公式サイトを更新し、MACアドレスを共有しており、複数のアダプタが存在する環境では接続できない旨を明記した[16]

MACアドレスは原則一意である一方、ユーザーが自由に変更できる仮想マシンでの利用や、プライバシー保護のためにランダム化されている場合など、結果として重複する可能性や、一部の製造業者が同じアドレスを使いまわしている旨が国外では指摘されているものの、同様のBluetoothアダプターを国内で販売しているバッファローアイ・オー・データでは「重複する事は無い」としている[15]

脚注[編集]

  1. ^ a b TP-LINK Continues To Dominate WLAN Market Share”. Mobilitytechzone.com (2013年8月9日). 2014年3月7日閲覧。
  2. ^ About Us”. TP-Link. 2017年12月26日閲覧。
  3. ^ [1]
  4. ^ Network-gear firm TP-Link thinks big in US market|Across Americas|chinadaily.com.cn”. Usa.chinadaily.com.cn (2013年4月5日). 2014年3月7日閲覧。
  5. ^ Richard Xu (2013年9月15日). “Richard Xu, Vice President - TP-Link”. Businessinterviews.com. 2014年3月7日閲覧。
  6. ^ About TP-LINK - Welcome to TP-LINK”. Tp-link.us. 2014年3月7日閲覧。
  7. ^ Networking News”. CRN. 2014年3月7日閲覧。
  8. ^ a b c Aleksandersen, Daniel (2011年11月24日). “TP-Link repeater firmware squanders 715 MB/month” (英語). Ctrl blog. 2022年3月27日閲覧。
  9. ^ a b <18.03.08更新>TP-Link製無線LAN中継器によるNTPサーバーへのアクセスに関して TP-Link
  10. ^ TP-Link製ルーターが大量のトラフィックをAviraへ送信しているとの報告、関連サービスをオフにしても送信は止まらず”. GIGAZINE. 2022年3月28日閲覧。
  11. ^ TP-Link Said to be Sharing all Router Traffic with Third Party” (英語). TechPowerUp (2022年3月12日). 2022年3月29日閲覧。
  12. ^ Newer TP-Link Routers send ALL your web traffic to 3rd party servers...”. Reddit (2022年3月12日). 2022年3月29日閲覧。
  13. ^ TP-Link Deco X68 Review: A good mesh router ruined by bizarre software” (英語). xda-developers (2021年5月25日). 2022年3月29日閲覧。
  14. ^ HomeShieldとAviraの通信について | TP-Link 日本”. www.tp-link.com. TP-Link (2022年3月23日). 2022年3月29日閲覧。
  15. ^ a b c TP-Link製Bluetooth機器でMACアドレスが重複 「他社も同様」と説明 BUFFALO、IODATAは否定”. ITmedia NEWS. 2022年4月27日閲覧。
  16. ^ Bluetooth USB子機に関するよくある質問 | TP-Link 日本”. www.tp-link.com. TP-Link (2022年4月19日). 2022年4月27日閲覧。

外部リンク[編集]